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アーケード未発売・未稼働ゲーム大全


アーケードゲーム史を語る上で重要な本といえば「それはポンからはじまった」
(以下「それポン」)がありますが、それポンで貴重な情報は得られるものの、
未稼働タイトルに関しては全くと言っていいほど触れられていません。
本書はその歴史の空白を埋める事にも一役買っていると思います。

選定タイトルの一部に不満はあるものの、全員が納得できるラインナップにする
事は無理な話だし、全員を納得させる唯一の方法は全ての没ゲーを載せる以外に
無いので、ここが妥協点でしょう。

マニアには少々物足りないラインナップとなってしまった感もありますが、
今回は未稼働アーケードの入門書と考えるとしっくりくると思います。
各タイトル1~2ページ使って経緯なども丁寧に書いた事からもそれが伺える。
(そのため、全体数が少なくなってしまったのが残念な部分ではあるが)

ちなみに、現在把握している未稼働・プロトタイプのうち、今回の本に収録した
タイトル数は全体の1割にも満たない数です。
(これで「大全」は大げさだなとチョット思ったが、編集側の意向のようで……
 没ゲーリストも提案したのだが、ページ数やら諸々の事情により断念。)

自分は今回、資料の補完・補正、情報の提供・提案、ミスの指摘・訂正が
主なサポート範囲でした。
(掲載タイトルの選定には関わっていません)


acut.jpg


本書の対象になる定義

大きな定義としては、未稼働/プロトタイプ/レアタイトルの3つに分けられ、
未稼働/プロトタイプが本書で対象になり、レアタイトルは対象外となります。
(それぞれの定義を長々と書いたが、長すぎたのでかなり短くまとめ直した)

未稼働
ショーやロケテストで出典されたが、稼働に至らなかったタイトル。
フライヤー等の広告は存在するが出典自体が未確認なタイトルまでは本書の範疇ですが、
企画段階等で実際に制作に入る前に没になった場合は判断が難しいところ。

アーケードとして稼働せず、家庭用等にシフトしたタイトルや、コンセプトだけを受け
継いで別のゲームとして完成させた場合は未稼働にあたると思います。

プロトタイプ
未完成で公開した後に、完成させて正式稼働したタイトル。
プロトタイプの時点では発売版とタイトルが違う事もあって面白い。

日本国内では正式稼働されず、海外流通のみになったタイトルは、プロトタイプになる
のか、未稼働になるのかは判断が難しいところ。

レアタイトル
発売されたが出回らず、実質未稼働と変わらないタイトルで、本書では対象外。
下手をすれば、未稼働・プロトタイプよりも出回りが悪く、判断が難しい。

イベントやショー向けに限定的に作られた特殊バージョンや、テーマパーク等の
大型施設にのみ設置されたタイトルもこちらに含まれると思います。



では、補足しておきたいタイトルをピックアップし、掲載順に書いていきます。

注意
今回のブログに載せているスクリーンショットは実際のゲームから撮ったものではなく、
再現画像です。実際のスクリーンショットと誤認されるような転載は厳禁でお願いします。



スナッパー


パックマンの綴りが「Puck Man」から「Pac Man」に変更になったエピソードは、
今では(恐らくそれポンの影響で)有名な話ですが、当初はスペルの変更ではなく、
名前そのものを変えるつもりであった事はあまり知られていなかったでしょう。

アーケードのパックマンはゲーム内にタイトル画面的なものがないので、タイトル名
(というかキャラ名?)が出るのが、このクレジット入れた画面だけです。

snapper.png

チートで名前を書換え



ダンシングクイーン


まず先に補足として、本書ではショーの出展に関する記述はありませんが、製本後に
ショーに出典された証拠が発覚しました。
(もし第2段があれば補足すると思われる)

それでも目撃情報は皆無に等しく、フライヤー以外の情報もほぼ無い状況。

そのフライヤーでは、詳細な画面説明が載っているので、スクリーンショットを
想像で作ってみました。
(実際は全然違っていると思うが……)

dncqueen.png

キャラはフライヤーより小さくした



ミクロアタッククルー


実は動画(非公開)が手元にあって、動画を参照して発売版と比較していました。

確認した限り、タイトル画面とオープニング以外の違いはほぼ無いと言える状態で、
気づいた違いは「面クリア時の残り酸素ボーナスカウント時にBGMが停止しない」
という、ネタにするには弱すぎる違いがあった程度。

バイオアタックを利用して、タイトル画面のスクリーンショットを再現しました。

matkcrew.png

なんかしょぼい



ミスター・ドゥ!(雪だるま版)


製本後に発覚した事ですが、ゲームマシンで最初に雪だるま版で広告を出した時期、
タイトー許諾版では既にピエロになっていた事が分かりました。
つまり、ピエロになったのは年明けではなく、11月の時点で変更されていたという事に。
(これについては、今後の版や書籍で何かしらのフォローが入るかも知れません。)



ブラムゾン


個人的には本書で一番の衝撃かも。今までゲームマシン等でモノクロの画面写真は
見たことがあっても、ゲーム内容自体は今まで全く知らなかったタイトル。
(当時の社員ですら覚えていなかったという……)

本書のフライヤーの写真だとわかりにくいのですが、左下のDECOのロゴの下の
「CASSETTE SYSTEM」が印刷されていたであろう部分に加工が施されており、
デコカセから急遽変更された事情が伺える。

今回、ブラムゾンのフライヤーも高画質なデータで貰っているので、その画面写真から
起こしてスクリーンショットを再現しています。

bramzon.png

フォントはほぼジェネシス



ゴー!ゴー!コースター


ミスタードゥズワイルドライドのプロトタイプ的な立ち位置になりますが、
ミスタードゥズワイルドライド自体のプロトタイプも別に存在しています。
(これに関しては第2段が発売されたら載せる可能性も検討中の模様)

そして、ゴー!ゴー!コースターも再現スクリーンショットを作成してみました。
基本16x16単位のパーツの組合わせですが、実はごまかしてる箇所が……

ggcoastr.png

それなりに再現できた



メタルソルジャーアイザック


ⅠとⅡの違いは他にもいろいろ確認されているのですが、これもスペースの都合で
殆ど入る事が無く、Ⅰはちゃっくんぽっぷのキャラが登場する事など、目立つ違い
だけでも差し込めればもっと良かったかな。

タイトル画面のスクリーンショットを作ろうかと思ったのですが、フォントが違っていて、
他のゲームから流用できそうなフォントも見つからなかったのでやめました。




太一(上村建也インタビュー)


インタビューで、「PSGノイズで(スネア)ドラムを再現したのは初かも」的な
話が出ましたが、これ以前だと、プーヤンが1983年で既にやっていますね。

で、ちょっと興味が出て調べてみました。PSGではなく効果音(TTL)をドラムに見立てた
ものは更に古く、代表的な例を挙げると、クレージークライマージャンプバグ等。
で、一番最初に効果音をドラムにしたゲームは何かと調べていましたが、その可能性が
一番高そうなのは意外なタイトルで、ブラックビートルズではないかと考えています。
もし、それ以前のタイトルを知っている!という方は是非コメントを!

blackbtl.png

おまけスクリーンショット



ネメシス


差し込む余地も時間もなかったため、2ボタン仕様や6オプションについては簡単に
流した感もあるので、ここで補足しておきます。

ロケテストに使った汎用筐体が2ボタン仕様だったため、2ボタン状態でのテスト。
恐らくプログラムで2ボタン仕様に直したのではなく、配線でショットとミサイルを
1つのボタンにまとめた可能性が高い。

6オプションについては、発売版のグラディウスにも6オプション仕様の痕跡があり、
5・6個目も装備するだけなら可能な状態になっています。
(その場から動かず、弾も撃たないので付けても意味は無い)

タイトル画面のスクリーンショットは、海外版ネメシスを使用し、チートで背景部分の
パレットを全部黒にして再現しています。

nemesis.png

想像なので違いはあるかも



小僧隊ガッチョ


没ゲー界の中ではかなりメジャーなタイトルで、語る上には外せないタイトル。

ゲーメストを始め、大きく取り扱われたケースも多く、その中でもポプコムは
最終面やエンディングの画面まで載せてしまったという暴挙(?)に出ていて、
今回その記事の資料も提供し、本書に写真を載せています。
現状、恐らくネット上には出回っていない画像だと思うので貴重かも。




ディストラクション


ネット上で調べると、別バージョンのスクリーンショットやタイトル画面が確認
できますが、これらは掲載許可を取る術が無く、本書での使用は出来ない状況で、
最終的にはアルカディアの記事のタイトル画面を使用する事に。

dstrctn.jpg

出回っているカラーのタイトル画面



急降下爆撃隊


エミュレーションに至るまでの経緯は、間違った解釈がかなり見受けられたので、
ここの修正のやりとりが今回一番長かったかも知れません。
最終的にかなり端折ってはいますが、解釈のズレは大分減ったと思います。

そして、海外版のタイトルがGAIAなのですが、実はロゴデータは残っていて、
タイトル画面をチートで再現。
(といっても勝手にタイルを並べただけだが)

gaia.png

これは予測で配置したもの



TVすごろくトリオ・ザ・パンチ


プロトタイプの代表格ともいえる作品で、没ゲーを語る上で外せないタイトル。
最近でも「コロコロアニキ」で特集があり、基板が残存している事も確認され、
ツイッターにも画面が紹介され、大いに盛り上がりました。

その時の画像を発売版のパレットで補正して再現してみました。

triothepp.png

日本語のほうが断然良い



オーパーツ


雑誌等で紹介されていたモノはメーカー表記にセガのロゴが入っていますが、
MAMEで対応しているモノはメーカー表記がサクセスのみになっています。
が、内部データとしてはセガ表記のデータも残されています。

呼び出すフラグがあるのかも知れませんが、強引に書換えて表示させてみました。

oopartss.png

セガロゴ入り



超獣機スプリガンパワード


これも超絶レアなタイトル。プロトタイプというより未完成レベル。
これまで唯一と言える情報が「ひげねこ堂」の「うんちくマニア」内の記事で、
http://www.higenekodo.jp/untiku/u_comp.htm
今回はその「ひげねこ堂」の協力もあり、本誌で新たなスクリーンショットが拝めます。



バーチャファイター


こちらも差し込む余地がなくて、本書に入れる事が出来なかったネタになりますが、
実はAMショーの最中も更新が続けられ、初日と3日目ではキャラ選択が違うという。
(2日目がどのバージョンかは未確認)

雑誌等で紹介されているのは初日のバージョンで、その時にラウのキャラ名が
「TAO」になっていた事は知られていますが、実は3日目のバージョンでは、
「TAO」ではなく「LEE」になっていて、「DURAL」も「WILLY」に変更、
キャラの配置もかなり違っています。

vf_p1_p2.jpg

左が初日、右が3日目



クイズドラゴンナイト


実は過去にオークションに出た事があり、タイトル画面なども載っていましたが、
オークションの写真を使うのは権利的に面倒なので、本書で使用する事は出来ず。
なので、その時の画像をここで貼っておきます。
(流石にスクリーンショット風に加工するのは面倒すぎるのでやめた)

qdknight.jpg

その時のタイトル画像



ポポィっとへべれけ


こちらもアーケードの画像がネット上に存在するものの、本書では使用出来ず。

タイトル画面の背景がスーパーファミコン版ともサターン版とも違っていて、
それらを利用してスクリーンショットを作るのはちょっと厳しい。

popoitto.jpg

背景が各機種違う



エアウォーカーズ


スポーツ(球技)で没ゲー数が多いジャンルはサッカーで、(本書でも複数紹介)
これは単純に全体数が多いだけでなく、Jリーグが発足されてから急に増えたのも
一因だと思う。(同じくらいある野球が、サッカーに比べて没ゲーが少ない。)
逆に全体数が少ないのに意外と没ゲーがあるのがバスケットボールという……。

エアウォーカーズはMAMEで対応済みですが、恐らくそれが最終版(1997表記)で、
本書で紹介しているのはまだ製作途中のプロトタイプ(1996表記)になります。

そして、タイトル画面自体は同じ形のロゴですが、配色や背景色がかなり違います。
(再現スクリーンショットはチートではなく、画像を加工しています。)

airwlkrsp.png

背景部分は他のシーンから取得



人鳥流(仙波隆綱インタビュー)


海外版を想定して作られた「PEN・DON」のタイトル画面はデータで残っていて、
チートでリージョンコードを変更する事で呼び出せる仕様でした。

実は少し前に公開したチートまとめ(Wayder_Cheat 0.235)に、こっそりと収録して
いて、今回のブログにネタをバラすという事としました。

計画通り!と、言いたいところですが、実は0.235公開時に消し忘れただけ……
ブログ書いた後に気づいて、データ差し替えも考えましたが、他にも消す予定だった
オーパーツヘッドオンチャンネル のチートまでも消し忘れていた事に気づき、
もうこのままイースターエッグ扱いでいいかと思い、差し替えはしませんでした。

このペンギンブラザーズのチートに気づいた人は多分居ないと思うので結果的にはOK。

pendon.png

実は正しく表示させるのにもう一手間必要




最後に

補足的に書き連ねましたが、ここに載せたタイトルは本書の1割程度です。
(最初はこの倍くらいの量の感想を書いたが、ブログが無駄に長くなってきたので
 感想をだけの記事はバッサリ削除し、再現画像があるものを中心に記事を残した)

他に紹介していない残りの作品の中でも、個人的に超レアだなと思う作品が
あと数十タイトルは収録されていて、それらも必見です。
(グーニーズ再現画像も作ったが、諸事情により非公開……)

その反面、他を差し置いてまで入れる必要があるのか?と疑問を呈した作品が
幾つかあった事も事実。続巻が出る事を想定してリザーブした作品もあって、
これで次が出せなかったとなっては本末転倒。
次巻に繋げるためにも、気になった方は是非お買い求めを!
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